15
2014
第6回ジョッキーベイビーズ 角田大和君 優勝
ジョッキーベイビーズ 観戦記 2014年10月12日(日)
今から20年前の1994年5月15日、この年から競馬を覚え始めた私は初めて「安田記念」を見ました。当時はまだジョッキーと言えば武豊さんしか知らず、このレースも武豊さんの乗るスキーパラダイスが1番人気で、他の馬は殆ど知らないど素人でした。そんな中、大方の予想を覆し優勝したのは5番人気のノースフライトで、ジョッキーは角田晃一さん。後に「大和君」の父親になる角田さんを最初に知った時でした。ゴールを切った直後には2着に入ったトーワダーリン騎乗の競馬学校同期生、田中勝春騎手と馬上で握手するという粋な演出。そしてこの時から角田晃一さんとノースフライトを応援するようになり、最後のマイルチャンピオンまで当然現地観戦。ノースフライト引退後も応援し続けることになりました。それからまた時は流れ2001年5月27日、角田さんはジャングルポケットで日本ダービーを制することになります(この時僕の右手には事情によりクロフネの馬券が握りしめられていました・・・)。そしてこの年、この日の主役、大和君が誕生します。
大和君に最初に出会ったのは2011年の7月、夏のファームステイに弟の大河君と参加してくれた時でした。その時の印象は「とにかくヤンチャ」。初めて会った他の友達とすぐに仲良くなって、乗馬クラブ内を所狭しと走り回っていました。そして水口乗馬クラブの会員になりました。あの角田晃一さんの息子に僕が馬を教えることになるとは、当時の僕が知ったらショック死すると思います。
会員になってからもヤンチャっぷりは相変わらずで、馬の上で倒立をする、鞭で壁をたたいた音にビックリして落馬、なども今となっては良い思い出です。ですがその騎乗バランスの良さは将来を予感させるものがありました。
そして、1年前にジョッキーベイビーズを目標にするということで、谷口先生や山口先生の指導も本格的に受けることになり、持って生まれた素質を少しずつ開花していき、関西予選では接戦を制し東京への切符を手にすることができました。
そして今日この日がやってきました。大和とお母さん、そして大河は前日に東京競馬場入り、そして前日練習がありました。大和からは「乗る馬はハショウボーイと言う馬で、ちょっと動きが重そう。」というコメント。大和にしては慎重な発言です。
本番当日、東京競馬場に着いた時にはこの日1回目の全体練習が始まっていました。昨日のコメント通り、鞭を使ってやっと駈歩を続けられるという感じで、さすがにこの時には「良い勝負をしてくれればいいなあ」という気持ちでした。
3時くらいからは2回目の全体練習の時間が始まりました。この時には全員それぞれの勝負服に着替え、元ジョッキーの岡部さんからゼッケン授与式がありました。体は小さいですが、勝負服を着るともう一人前のジョッキー姿、晃一さんの姿がかぶります。
全体練習の後は家族と記念撮影。本番直前ですが大和には全く緊張感はなく、とてもリラックスした雰囲気でした。あとは12レース終了後の本番を待つだけです。
最終12レースが終わり、僕には別の役目が待っていました。それは東京競馬場の4コーナーにあるスタート地点での放馬止めのロープ持ち係で、子ども達のスタートを目の前で見ることができます。そしてそれ以上に興奮させるものが東京競馬場の芝の上に立てる事。数々のドラマを生み出してきたこのターフに立った瞬間は鳥肌が立ちました。ノースフライト、ジャングルポケットはもちろん、ナリタブライアン、サイレンススズカ、ディープインパクトなど数々の名馬がこの4コーナーを走り、遙か先に見えるゴール板を目指したかと思うと自然と熱いものがこみ上げてきます。そして父、晃一さんが走ったこのターフを子、大和がまさに今走るのです。これまでの20年が今、一瞬になった時でした。
そんなことを考えている間にジョッキーベイビーズ達の本場馬入場。12レースの後にも関わらずスタンドにはたくさんのお客さんがこのレースを見守っています。刻一刻とスタート時間が近づくにつれてスタンドもざわめいてきます。そしてゴールからの夕日がジョッキー達を優しく照らし出す中、G1のファンファーレ。この時にはもう鼓動の高鳴りは最高潮。
「さあ、スタート! 大和ちょっと遅れたけどまずまずやん。このまま前の馬に着いていって後半勝負や! ここからはもう後ろ姿しか見れへんし、前のターフビジョンで。 大和はどこにいるねん。早く映してくれ。 いたいた!良い勝負や! え!、大和追い抜いてる? ほんまか! そのまま そのまま やった~ 大和勝った~!」
今覚えている心の声です。その後のスタート地点の後かたづけもそっちのけで、大和の待つウイナーズサークルに駈け出しました。勝負を終えた大和の顔には大仕事をやってのけた充実感、そして今までにはなかった安堵の表情がありました。
ウイナーズサークルでは表彰式が始まり、現役ジョッキーの方々がプレゼンテイターを努めてました。そしてなんと大和のプレゼンターはあの勝春騎手。20年の時を超えて今度は息子との握手です。観客の方からも大きな歓声があがりました。当時を知っているファンにとったら最高の場面ですね。そしてインタビューでは「騎手になる」と断言。競馬場にいた全員が大和の将来を確信したと思います。
こうして今年のジョッキーベイビーズは幕を下ろしました。水口からは3回目の挑戦での優勝。これまでの賢人と流星の挑戦、そして優花や未来、今年も挑戦した凌嘉、圭吾、彩音、茉里奈達の涙があっての今回の優勝です。この思いを胸に大和にはもっと大きなジョッキーになってほしいと思います。
(おまけ)
帰りの新幹線、隣の席は「ほんまっすか」でお馴染みの有名芸人でした。スーパードライが好きみたいです。
2014/10/12 美船
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